メールマガジン No,8    (2018年8月21日)        生産財の取引における特徴(1)

生産財の取引においては、消費財と異なる特徴があります。
消費財であれば販売する対象は不特定多数であり、どんな商品がどれだけ売れるのか、という需要予測が重要になります。

これ対して生産取引においては、以下のような特徴があります。

1 合目的性
消費財は、広告を見たり店頭で商品に触れたりすることで衝動買いをすることがあります。
しかし、生産財では、その利用目的に照らして妥当な製品であると判断できなければ購入に至りません。

2 継続性
生産財の取引において、購買決定者は製品選択やサプライヤーの選択における失敗を
恐れるため、過去に取引経験のある製品やサプライヤーを選択する傾向があります。
また取引の回数が増えれば増えるほど、取引相手に関する情報が蓄積されます。
これはサプライヤーには顧客により適した提案が行える素地となり、また顧客には
サプライヤーへの信頼を厚くする素地となります。
更に継続的な取引により、サプライヤーは技術開発や設備への投資を安心して行える
ようになり、これがサプライヤーの製品のコストダウンをもたらし取引の継続性を
更に強める効果があります。

3 相互依存性
生産財の取引では、供給先企業は自身の事業の実施のためサプライヤーから提供される製品やサービスに依存することになります。
一方、サプライヤーは自身の製品開発、生産活動、サービスの内容等を供給先企業の
意向を踏まえたものにする必要があります。
場合によっては、供給先企業がサプライヤーへ技術や品質管理の指導を行うことも
あります。

4 組織性
生産財の取引においては、購買面と販売面で組織性が存在します。
購買面では、購入する製品やサプライヤーの決定が一人の担当者の意思決定で行われることはまれであり、通常、複数の部署や人間が関与することになります。
また販売面でも一人の営業担当者だけが販売活動を行うのではなく、設計者により
見積原価や図面が作図され、サービス員がメンテナンスを提供しています。
このように供給先企業、サプラオイヤー企業ともに組織として生産財の取引に関わっているのです。