お世話になっております。
生産財マーティング研究所です。
前回まで見てきましたように従来の個人任せの営業では、注文が取れず
売り上げは増えません。
では、どうした良いのでしょうか?
営業マン個人ではなく組織全体で、出たとこ勝負ではなく個々の顧客に
適した営業活動を計画して実行する必要があります。
そのためには、マーケティングの考え方を応用することが有効です。
ですが、マーケティングというと消費者相手に行う「広告宣伝」や「市場
調査」というイメージがあります。
マーケティングという考え方が日本に紹介された時のイメージが今でもぬ
ぐえないのですが、実はマーケティングという考え方は非常に広範囲に渡り、
消費財だけではなく生産財にも適用できるのです。
では、まず生産財に関して確認します。
生産財は消費財に対する言葉です。
消費者に対して販売する財を消費財と呼ぶのに対して、企業や行政機関に販売
する財を生産財と呼びます。
原材料や部品、機械設備などは代表的な生産財です。
また、パソコンや車のガソリンなども企業や行政機関が使えば生産財となります。
神戸大学の高橋克義・南知恵子は、生産財を次のように分類しています。
1 部品
購買頻度 高い
価格帯 低~中
供給者の数 少数~多数
カスタマイズの程度 低~中
受注生産の程度 低~中
2 原材料
購買頻度 高い
価格帯 低~中
供給者の数 少数
カスタマイズの程度 低
受注生産の程度 低
3 機械・設備
購買品頻度 低
価格帯 高
供給者の数 少数
カスタマイズの程度 高
受注生産の程度 高
4 業務用供給品
購買頻度 高
価格帯 低
供給者の数 多数
カスタマイズの程度 低
受注生産の程度 低
5 サービス
購買頻度 低~高
価格帯 低~高
供給者の数 少数~多数
カスタマイズの程度 高
受注生産の程度 低~高
出典:「生産財マーケティング」有斐閣
部品は、ボルトやナットなどの一般的なものからスイッチやベアリングなど
最終製品の機能を実現するために組み込まれるものまであります。
日々の生産活動に必要ですから購買頻度は高く、一般的な部品であれば多く
のサプライヤーが存在します。
原材料は、鉄鋼や木材、プラスックなど加工されて部品や製品になるものです。
これらも日々の生産活動に必要であるため購買頻度は高くなりますが、サプラ
イヤーは装置産業となり限定されます。
機械・設備は、工作機械、計測装置、検査機器、プラント、さらには船舶や
航空機など多様な製品を含みます。総じて高額であり固定資産として資産計上
され、減価償却される財です。
サプライヤーは限定的となり、使用目的によりカスタマイズされることが多い
のが特徴です。
業務用供給品とは、生産現場で使用される潤滑油や燃料、事務所で使用される
机やイス、事務用品などであり、最終製品の一部になるものではありませんが、
生産活動に必要とされる財です。
サプライヤーは多く存在し、特別な仕様が要求されることもなく標準仕様の財で
需要が満たされます。
サービスは、機械・設備のメンテナンスはもとより、経理や情報処理のように
アウトソーシングされるサービスなども含みます。
その種類は非常に多く、どのようなサービスがどのレベルまで要求されるか個々
の取引により異なります。